ここまでこのシリーズでSnowflakeについて調べてきましたが、私のメインツールはBigQueryです。両方を実務で使ってみて感じた正直な違いを、対立構造ではなく向き不向きで整理してみます。DWHそのものの役割から確認したい方は、 データウェアハウスって結局何なの? を先に読んでいただくと理解が早いはずです。
前提: 私のバックグラウンド
- 私はBigQueryを数年使っています
- クライアント案件の大半はBigQuery + dbt + Metabase構成です
- Snowflakeはこのシリーズをきっかけに本格的に触り始めました
なので 私にはBigQuery寄りのバイアスがある 前提で読んでください。
設計思想の違い
| 観点 | BigQuery | Snowflake |
|---|---|---|
| 一言で | 全自動のデータ分析基盤 | ユーザーに選択肢を渡すプラットフォーム |
| インフラ管理 | 完全サーバーレス | 仮想ウェアハウスの起動/停止を管理 |
| チューニング | ほぼ不要(Google任せ) | ウェアハウスサイズの選択で調整 |
| マルチクラウド | GCPのみ(BigQuery Omniで一部対応) | AWS / Azure / GCP |
| データ共有 | Analytics Hub | Data Sharing(ゼロコピー) |
| AI統合 | Vertex AI連携、BigQuery ML | Cortex AI、Cortex Code |
BigQueryは「Google流の全自動」です。インフラのことは考えなくて済みます。一方のSnowflakeは「ユーザーが選べる」設計で、コンピュートリソースのサイズや数を自分で決められます。この選択肢を渡す姿勢がSnowflakeの一貫した思想であることは、 Snowflakeの設計思想 で詳しく書きました。
料金体系の違い
ここは経営者が一番気にするところです。
| BigQuery | Snowflake | |
|---|---|---|
| 課金モデル | スキャン量課金(読んだデータ量) | コンピュート時間課金(稼働時間) |
| わかりやすさ | 「どのくらいデータを読むか」で決まる | 「どのくらいの時間動かすか」で決まる |
| コスト予測 | クエリごとに変動。予測しにくい | ウェアハウスサイズ × 稼働時間で計算可能 |
| 無料枠 | 月1TBのスキャン無料 | $400の無料クレジット(初回のみ) |
| 定額プラン | あり(Flat-rate) | なし(常に従量) |
「月いくらかかるか」を聞かれたとき、Snowflakeの方が答えやすい印象です。ウェアハウスのサイズと稼働時間で試算できるので。BigQueryはクエリの書き方やデータ量で変動するので、事前見積もりが難しい。
使い分けの基準
BigQueryが向いている場面
- GCPを既に使っている(Firebase、Cloud Runなど)
- 完全サーバーレスがよく、インフラ管理をしたくない
- データ量が小さめ(月のスキャン量が数TB以下)
- シンプルな分析クエリが中心
Snowflakeが向いている場面
- AWSやAzureをメインで使っている
- 複数の組織間でデータ共有が必要
- 非エンジニアもダッシュボードや分析を使う
- コンピュートリソースの細かい制御がしたい
私の本音
私はBigQueryで育ったので愛着があります。サーバーレスの楽さは素晴らしく、何も考えなくてもスケールしてくれます。
でもSnowflakeの共有機能には感心しました。Data Sharingのゼロコピーは設計として美しく、複数組織でデータを共有する案件では、Snowflakeの方が適している場面があります。
Cortex Code CLIの体験も良かったです。自然言語でSQLを書ける感触は Cortex Code CLIを触ってみた に詳しく残しましたが、BigQueryにも同等の機能がほしいと感じました。
私はクライアントによって提案を変えています。GCPメインの環境ならBigQuery、AWSメインならSnowflakeも選択肢に入れます。
「どちらでもいい。大事なのはDWHを持つこと」 が私の本音です。Excelやスプレッドシートでデータをやりくりしている状態から、どちらかのDWHに移行するだけで世界が変わります。
まとめ
- BigQueryもSnowflakeも、どちらも優秀なDWHです
- 「どっちがいい?」より「どっちが合う?」で選ぶべきです
- 迷ったら既に使っているクラウドに合わせるのが無難です
- どちらを選んでも、今のExcel管理よりは確実に良くなります
- 次は、もう一つ大事な「ベンダーロックイン」の話を Apache Icebergで実現する「やめられる自由」 に書きました